桜の開花時期予想日が発表されました。私が住む静岡は3/22頃。この桜とはソメイヨシノの開花をさすので、先行咲の河津桜はすでに葉桜になってます。河津桜の濃いピンク色とソメイヨシノの淡いピンクどちらも桜色ではありますが、JISの慣用色名の桜色といえば10RP 9/2.5(色相・明度・彩度)この表記ではソメイヨシノの桜色を指しています。このほかにも桜の種類はたくさんあり、600品種とも言われていますので、一言に桜色と言っても人によってイメージする色は様々。桜のイメージも人それぞれですね。
桜は古くから使われていて色名・柄・重ねの色目のほか、万葉集や古今和歌集など和歌にも多く登場しています。好きな歌が実は桜だったので、また歌のイメージがかわりました。


花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町 

 久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ       紀友則


どちらも人の思いとは関係なく自然(桜)は刻刻と移っていく。その時の思いを楽しく過ごすも、憂いでいるも過ぎてしまえば、花も葉も散り何もなくなる。と桜の開花から散るまでの一瞬を時として表しているのを感じます。
ところでこの万葉集や古今和歌集で詠まれている桜はじつは今私たちが目にしているソメイヨシノではないのです。ソメイヨシノは江戸末期から明治時代にオオシマサクラとエドヒガンサクラを交配しできた桜で、それをクローン技術によって全国各地で植栽し皆さんの目を楽しませてくれているんですね。
では万葉集などで詠われている桜は?というと日本古来から生息しているヤマザクラで、吉野桜もヤマザクラです。吉野の桜、お花見と言えば太閤秀吉の吉野の花見と醍醐寺の花見。広大な敷地での花見の様子は屏風絵や歴史資料で豪華さがよくわかり、政治家が桜が大好きなのは昔からなんだなと思ったりします。(100円硬貨の桜もヤマザクラ)このヤマザクラはソメイヨシノよりすこし赤みがある花。開花と同時に若葉も開き始めるので補色効果でより赤みが美しく感じるのでしょうか。
ソメイヨシノが全国の桜のうち80パーセントを占めているそうですが、なんと静岡東部にはソメイヨシノとは別の自生品種を見る事ができるそうです。豆桜(フジサクラ、箱根桜)熱海さくら。ソメイヨシノとの違いを見つけに出かけたいものです。お花見宴会中止、桜まつり中止、イベント自粛の大波を乗り越えている今、個人や家族でゆったりと、身近な桜を楽しみながら色・文化・歴史を見つめ心豊かに過ごしてみませんか?